- 滋賀はその中央に日本最大の琵琶湖をたたえた「湖のくに(このくに)」です。琵琶湖の周囲には、名山と称される鈴鹿山系、伊吹山系、比良山系の豊かな山々がそびえ立ち、そこに降る雨水や雪解け水は、良質な伏流水となって琵琶湖に注ぎ込みます。天から降り注ぐ水は大地を通り、やがて広大な湖「琵琶湖」へと還っていきます。
- 豊かな伏流水に恵まれた滋賀は、各地域によって水質も異なります。琵琶湖の東側にある鈴鹿山系はまろやかな飲み心地の超軟水、北側に位置する伊吹山系はカルシウムを含んだ硬水、西側の比良山系では甘みを持った軟水など、地域によって異なる性格をもった“水”は、やがて、米作り・酒造りの個性を大きく形作っていきました。
- 清らかな琵琶湖の水は、鮎や鮒などの湖魚を育て、豊かな農作物を育てます。琵琶湖から立ち上る湿気は“発酵”に適した環境をつくりました。また、古来から水運や街道など交通の盛んな滋賀には、“運搬”に適した保存の効く様々な発酵食品が育まれました。
- 滋賀県の発酵食品と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。ふなずしも有名ですが、じつは滋賀は古くから地酒づくりが盛んな地域。きれいな水、おいしいお米、豊かな自然に育まれた環境だからこそ完成した銘酒が県内各地に存在しています。
- その土地で代々続く酒蔵と、それを守り続ける杜氏がいます。そして、その酒を愛し、大切に味わう人がいます。人の営みの中で受け継がれ、酒の個性も磨かれていきました。
酒の味が違うように、酒粕の味もそれぞれ違います。“きき酒”ならぬ“きき酒粕”を楽しむように、その違いの中に“湖のくに”の魅力を感じてみてください。